Le Journal de Nori
2003年10月31日 金曜日   ハロウィーン

もう10月が終わろうとしている。 その終わりの日がちょうどハロウィーンの日だ。 日本ではなじみが深くない。 と言いつつも、ここ、フランスでもそんなになじみは深くないのだ。 だが私のだんなはアメリカ人。 小さいころから毎年楽しみにしていた行事らしい。  


そもそもハロウィーンと言うのは、アメリカが原点のようで、実はそうではない。 

「紀元前2000年ごろから、5世紀までヨーロッパに広く居住していたケルト民族が、新年の前夜に行った儀式だそうだ。 11月1日はケルト民族にとって夏の終わり、秋の収穫、冬の始まりを表す特別な日で、彼らはその日を新年としていた。 そしてその前夜、10月31日には死の世界と現世の境があいまいになり、魔女やその他の悪霊が現れて、人間にいたずらをすると信じられていた。 人々は悪霊から逃れるため、焚き火をしたり、お菓子などをお供えしたり、また、放浪する霊になりすますために仮装などもしていた、といわれている。」



だんなは小さいころから、大きなかぼちゃに怖い顔を描いて、お父さんがくりぬいていたそうだ。 だからうちもやってみよう。 というか、去年もおととしもした。 

スーパーマーケットでは、ハロウィーンをうたい文句に、チョコレートやキャンディーがたくさん並ぶ。 でも、ここフランス(トゥールーズ)ではあまりそんなことで盛り上がる人はいない。 
まずかぼちゃを探しに行く。 実は去年もうちは同じことをやったので、同じところに探しに行く。 うちは、フランス第4番目の都市、トゥールーズ市のすぐ外だ。 ヨーロッパ一大きいスーパーがあるのはうちの近所で、たくさんの人が行き来するところだ。 だが、メイン通りのすぐ脇へ入れば、畑が広がる。 そしてその中に、大きな農家があり、そこではそこで採れた新鮮な野菜や果物が手に入る、というところである。


寒い朝だ。 
農場へ入るや否や大きなかぼちゃが目に留まる。 よっしゃ、今年も置いてある!
でも、毎年採れる大きな飾り用のかぼちゃは、猛暑だった夏のために採れなかったという。 ここにあるのは、違う農場から持ってきたものらしい。

飾り用のかぼちゃは、鮮やかなオレンジ色で、食べることができず、食べられるほうは、凹凸が激しく、色もさえない。


そこで見つけたでかい飾り用は、2つだけ。 なんか少ない気がする。 どうせ、くりぬいて明かりをともすのは夜だし、色なんか関係ない。 食べられるほうも買うことにした。 保存しているコンテイナーに入ってかぼちゃを選ぶ。


     おはよう、わんわん。

そこには、犬が2匹いて、動物好きな龍ちゃんは犬を追いかける。 大きな犬がいたのだが、その犬は龍ちゃんに近づいていって顔をべろべろ、まさにべろべろなめている。 龍ちゃんはぜんぜん身動きもせず、しかも口を半開きにしていたので、もう見ていられなかった。 農場の人は、「まあ、何も言わないのねえ、かわいいわ。」 もう顔を引きつらせて笑うしかなかった。。。

そしてゲットしたかぼちゃは全部で4つ。 
さあ、くりぬく。 
今回は、仲のよい隣の家のお母さんと、あと一週間で11歳になる娘を誘った。 本当は、だんなが指揮をとるのだが、最近比較的帰りが遅いので、私が指揮をとる。
まず、中身を空にする。 かぼちゃの上のふたになる部分を手が入るようにナイフで切り取る。 え?だんながやってたのを見てたらめちゃ簡単な気がしたのに、なに? 硬い!  そうだ。 うちのだんなは力持ちだ。 でも、隣の人を誘ったし、「ごめん、できない、じゃあ帰っていいよ」では情けなさ過ぎる。 根性を入れなおして、うぉりゃー。 ふたができた。

そして、他のかぼちゃの頭部分を切っている間に、2人には、中身をくりぬいてもらう。 これが結構気持ち悪いのだ。 ぬるぬる、そして長い繊維は指の間を抜け・・・ でもきれいにくりぬかないとろうそくが置けない。。。


その種は捨ててはいけない。 だんなの大好きなスナックになる。 
繊維質のものを全て取り除き、洗い、塩水に一晩つけておく。 そして翌日水気を取り、180度のオーブンで、こんがりと焼くのだ。 それを冷ましてそのまま食べる。 隣の女の子も大好きなので、もちろんおすそ分け。


そしてくりぬかれたかぼちゃに、絵を描き、それをまたくりぬく。 というところにだんなが帰ってきた。 もうこれで根性を入れなくて済む。 私は毎年ねこを描く。
左のは、隣の子のもの。 かわいい! ぜんぜん怖くない。 持って帰ってもらった。 
右のは、だんな。 見えないが、ブラックでビルのような耳が彫られていて、誰に言っても分かってもらえないし、悲しいが、一人で笑った。


そしてハロウィーンの当日。 
去年、隣の女の子は、うちの向かいの家の13歳の孫(男の子)とそのお母さん、そしてその近所の人たちで仮装して近所を回った。 今年は、その男の子は、他の友達とする、という。 
でも、隣の子は行きたい、という。
女の子の両親は、子供だけでもだめ、一人なんてもってのほか、といっていたので、ほな、私が龍ちゃんを仮装させて一緒に行こうか? というと、女の子は大喜び。  で、去年の話を聞くとなにやらたくさんののしられたらしい。 この近所一帯には、結構お年寄りがたくさんいて、ハロウィーンなんてほかの宗教だろ、と嫌がる人もいるのだ。 
だから、その男の子の母親も行かないことにしたのか。。。

行く気をなくした。 ついて行って、いっぱいばかやろうなこと言われたら悲しくなるんじゃ。。。
でも彼女に一緒に行くって言った手前、もう後を引けない。 が、たまたま、その日は私の友達が遊びに来ていて、友人をうちに取り残して行くことはできなかった。


じゃ、だんなに連れて行ってもらう? 暗くなってでも、彼とだったら大丈夫でしょ? 親に聞いておいで! 彼女の両親は遅くとも19時半に帰ってくることを約束してOKを出した。 やった、行かなくて済む! 


かぼちゃの中のろうそくに火をともし、隣の子は、お化け、龍ちゃんは、ライオン(なんでやねん)、になって、パパは、頭に悪魔のカチューシャをつけていざ出発。 

私は、うちで友達と、来る人にキャンディーを与える役。 
一組来た! 怖いお面をかぶった向かいの家の孫とその友達だ。 こんちはー。げんきー? といいながらキャンディーをいくつもあげる。

うちは、袋小路になっていて、通り抜けができない通りだ。 もともと通る人は限られているうえ、ここは、フランスだ。 そして次は待てども待てどもなかった。





どう、怖い?

そして友達が帰ろうとするちょうどそのとき、うちの一行が道を曲がって帰ってきた。 残すは、このとおりの家だけである。 
「どうやった?」 「もうすごい怖い人がいたよー。 ハロウィーンなんかくそ食らえ、お前らの皮、はいでやるーってすごい声で言われたの。。。」と隣の女の子は言う。 うわー、行かなくてよかった。 だんなに行かせて正解だった。


そして、もう19時半を回ろうとしていたが、このとおりの住民は仲がいい。 疲れてままにだっこをねだる龍ちゃんを連れて、私もここから参加。 こんばんはー。 どの家もが「おはいりなさい」といい、飲み物を進める。 それは結構ですというが、話は進む。 これを4件済ませ、もう8時を回っている。 女の子の不安な顔は隠せない。 一回一回、私が「この子は19時半までに帰らないといけないので・・・」といって、話を短くしていた。
彼女もとっとと帰っていればよかったが、どうもキャンディーが欲しいみたいだ。
そして3軒目でやめようと思ったが、「隣のマダムのところに言ってあげなさい。」としきりに言うので、行かざる終えなかったりした。


そして隣に連れて帰ると、お母さんはニコニコ出てきたが、お父さんがなかなか出てこようとしない。そして出てきたお父さんは、我々の顔をも見ようとしない。 怒っている! あー、これで、仲いい家族ともぎこちなくなったらいやだなあ。。。。。

ちなみに龍ちゃんがもらったキャンディー。 
この日から、龍ちゃんはキャンディーの味を覚え、毎日ねだってくる。。。 


心配した隣のお父さんだが、翌日、だんなに、サッカーの試合を見に一緒に行こうとやってきた。
そして2人は仲良く出かけていったのである。
そして私は、キャンディーを一日中せがむ龍ちゃんの気を紛らせるのに必死だった。

ああ、来年もまた同じことをするのかと、複雑な思いに駆られている。


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