Le Journal de Nori
2003年8月4日 月曜日   ムース(ヘラジカ)の親子

昼寝から覚めた龍ちゃんを抱いて外に出ると、だんなが、「ムース(ヘラジカ)の親子がこの湖のほとりにいる!」と、興奮を隠しきれずに言う。
早速、ボートを出して、見に行ってみることにした。 龍ちゃんのじいちゃん(ザ・お父さん)も一緒だ。

ボートといっても、小さい、4・5人乗りのボートだ。 小さい龍ちゃんは念のためにライフベスト(救命具?)をつけなければならない。 先日も彼に、ライフベストを着用させて足こぎボートに乗ろうと試してみたが、そのベストがどうしても嫌で、騒ぐので断念していた。
でも、今日こそは乗りたい! 泣かないでくれ、騒がないでくれ。 ザ・お父さんがいるから緊張するじゃないか。。。。 



今日は、何とか、大丈夫そうだ。 龍ちゃんは、ベストのバックル部分をはめたりはずしたりして遊んでいる。 よかった。。。。

そして、いざ、出発。 2人は、カヤックに乗って我々のあとを追う。 といっても、2分行った先にもうムースの母親のでかい耳が茂みからのぞいている! 我々は、湖から、うかがう。 子供2頭がいるはずだが、まだ見えない。 みんなが「しー、しー(静かに、静かに)」としていたところをライフベストがどうも気になると思われる龍ちゃんが、叫んだ! 「ぎゃーぎゃーぎゃー(ベストをとれー、脱がせろー、身動きが取れへんやろー)」 


そのときだ!!!  母親ムースが立ち上がる! 湖の水を飲み始めた。
我々は、水上15メートル位先から眺める。 ライフベストを緩めて、龍ちゃんもおとなしくなった。
こんなに近くに見えるとは、驚きだ。 子供はどこだ! まだ茂みの中にいるぞ! もっと近くに行って、なでなでしたい!
というと、だんなが、「だめだ。 特に、母親は、子供に何かあると察すると、攻撃してくる。」 そうだ、母親の本能だ。 「でもムースは泳げるの?」、ザ・お父さんが続く、「ムースは、魚くらいのスピードで泳ぐ。」  ひえ〜!! こんなに近かったら、おしまいやないか。 あのムースがこのボートをひっくり返したら、泳がないとだめだ。 しかも、私は、泳ぐのがだいっ嫌いだ。 


中学生のころはなぜか「泳げそうに見える」という理由だけで、水泳大会の50メートル競泳とかに無理やり出されたものだ。  だが、この人生において私は、50メートルを一気に泳いだことがないのだ。 水泳大会の日は、いつも体調が悪いことにした。 出場するにはするのだが、みんなにあらかじめ「ごめんね」といっておく。 私なりの防衛でもあった。 




そんな私が、こんなムースのせいで、泳がないといけない羽目になったらどうしよう。 龍ちゃんを守るという母親の本能は機能するのだろうか。 しかし、じいちゃんは泳げるのか。 ライフベストは龍ちゃん以外つけていない。 うちのだんなは、高校のとき水泳部で、毎日5km泳いでたというし、力も強いし、龍ちゃんとじいちゃんを抱えて、帰れるだろう。 じゃ、私はどうなるのだ。 じいちゃんが達者に泳げることを祈るしかなかった。




と、考えをめぐらしているときに、目の前で、ムースがしたものは!!!! 湖はトイレと化す。 まずお尻から茶色い物体が! ムースは鹿の仲間だとあなどってはいけない。 馬並みだ! そして最後は勢いよく、「滝」を披露する。  うわー、こんな湖の水を飲んでたのかー。 絶対に、この湖に落ちたくないのだ。 子供なんて見なくていいからもう帰りたい!! 

・・・・とそのとき、母親ムースは、我々のコテージに向かって歩き始めた!  「Simpson's & Co.」は、湖畔のテーブルに、我々がフランスから持ってきていた数々のチーズを並べてワイン片手に楽しんでいた。 


そのとき、ようやく子供たちが姿を現した。 
母親について後を行く。 水を飲まなくてよかった。 母親が「なに」をした後に子供たちがその水を飲むなんてかわいそう過ぎる。


ムース一家の到来に気づいたみんなは、チーズを持って、コテージのテラスに避難していた。 「チーズのにおいでこっちに来たんじゃないか」というものもいた、が、定かではない。 

庭の木を食し、機嫌を取り直したムースの親子は、さらに進む。
我々のコテージの隣は、新しいコテージを建設中である。 その横をそそくさと抜けて、森のほうへと消えていった。 


だんなは生まれて初めてムースを見たという。 ちなみに、日本語でムース(Moose)は、「ヘラジカ」と訳されているが、エルク(Elk)という後日、紹介する違う種類のシカ科の動物も、日本語では、ムースと同じく「ヘラジカ」と訳されている。 日本には存在しないので、仕方がないのであろうか。


余談ではあるが、トナカイ(reindeer)と、カリブー(caribou)も、種類は、違うのに、日本語では、「トナカイ」だ。
「reinndeer」を調べると、「トナカイ、caribouを参照」とあり、「caribou」を調べると、「北米の野生のトナカイ、reindeerを参照」とある。
ということは、トナカイ(reinndeer)は、野生ではないのか。 しかし、日本語で言う「トナカイ」とは何語であるのか。。。。サンタクロースの住むフィンランドなのか? ご存知の方がいたら連絡してほしい。

トナカイ(Reindeer)   カリブー

その晩の夕食には、ムースの肉の、バーベキューが。。。。。というのは、うそで、でっかい牛肉が、グリルの上で焼かれることとなった。 長いところで、30cm以上はあると考えていただきたい。 もちろん厚みは3cm以上。 アメリカンサイズだ。 
ちなみにアメリカではムースの肉を食べるらしい。 が、なぜかどうしても食べたいという気になれない日であった。 
でも、こんな近くに、野生の動物が見られるなんて、本当にラッキーなことだ。 国立公園内だけではなく、自然を守っていきたい、守られていってほしい、と思う。 一人一人のちょっとした心がけで、動物たち、自然、そして人間が、気持ちよく共存できる世の中になってほしい、と願ってやまない。

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